(Sponsored Links)
潜降①では、足の付くところでの潜降とロープを使った潜降に付いて解説しましたが、今回は少しレベルアップしてフリー潜降とヘッドファースト潜降についてです。苦手な人も多いですが、コツさえ抑えてしまえば意外とすぐに出来るようになります。
フリー潜降
フリー潜降はロープなどを持たずにマイナス浮力を利用して潜っていくスタイルです。ビーチダイビングである程度水面移動した後、もしくはボートダイビングでも潜降ロープを使わずに潜りたい場合の方法ですね。ボートでエントリー場所と潜降ロープの間に距離がある場合は、フリー潜降ならさっと潜れて時間短縮になりますし、波がある時も水面にいる時間を少なくしたいので便利です。ファンダイビングでダイバーが最もよく使う潜降方法がフリー潜降ではないかと思います。
難しく思われている方もいらっしゃるはずですが、Cカード講習でも達成すべき課題となる潜降スキルですので、コツをつかめば初心者ダイバーでも十分マスター出来ます。
スキルのポイントは、足の付くところで潜降する時に抑えるべき点と同じです。つまりは次の3点ですね。
- BCDの空気を完全に抜く
- 吐き気味呼吸
- 勢いを利用する
BCDの空気を完全に抜く
エントリーしたら、まずはBCDの空気を抜いていきます。フリー潜降は水面に浮かんだ状態からのスタートになりますので、エントリー後はBCDに結構な空気が入っているのが基本的な形です。
その空気を十分に抜くには、インフレーターホースを使うのであればホースのある左肩を少し上げ、ホースをしっかり上に伸ばして排気します。この時、体は起こしておかないと空気が完全に抜けない原因になります。
また、「足の付くところでの潜降」でも言いましたが、肩のダンプバルブ(排気弁)のあるBCDならば、その肩ヒモを引っ張ってやればスピーディーに排気が完了し、潜降が始められます。ダンプバルブを使う方が、空気がBCD内に残ってしまうケースも少なくなるので、潜降に関してはオススメです。
吐き気味呼吸
BCDの排気が完了したら、そのまま潜降していきます。その時にポイントになるのが吐き気味呼吸です。潜降①の内容の復習になりますが、ポイントは吐いている時間を長くすること。
バッチリの適正ウェイトの場合は、同じテンポで呼吸を続けていても、なかなか潜降しづらいこともあります。水面でリラックスした状態になり大きく息を吐きましょう。最後の最後まで吐ききるつもりで、長ーく吐いていると徐々に体が沈んできます。
ここで普通に吸ってしまうと、またすぐに浮いてしまうことが多いので、吸うのに割く時間は一瞬です。吸う空気の量は変えずに、なるべく素早く吸いましょう。そしてまたゆっくり吐く、という繰り返しです。
勢いを利用する
吐き気味呼吸をしていても上手く潜降できない時に必要になるのが、三つ目に挙げている勢いです。水面に浮かんだ状態でどうやって勢いをつけるかというと、立ち姿勢の状態で真上に向かってジャンプするように1,2回キックします。
すると落下の勢いが付き、潜降を助けてくれます。そして少し頭が沈んだ状態から、すかさず吐き気味呼吸をスタートすれば潜降しやすいはずです。
水深1~1.5mくらいまで潜降出来れば、あとは普通の呼吸でも潜っていけます。水深が深くなっても潜降速度が速くならないように、BCDに少しずつ給気をしながら水底まで潜降を続けましょう。
基本はフィートファーストで
フリー潜降は基本的に、足を下にするフィートファーストのスタイルで潜降することが多いです。頭を上にすることで耳抜きもしやすいですし、水底にガンガゼが多かったり、もしくは状況がよく分からない場合などはフィートファーストの場合とっさの行動が取りやすいので安心です。
フィートファーストの基本姿勢は次の通り。
- やや前傾姿勢
- 膝を折り曲げる(フィンの裏をお尻に付けるようにすると、抵抗が減って沈みやすくなる)
- 目は着底地点
- 左手はインフレーター(必要に応じて吸気)
またフリー潜降を練習をする時は、目標物があった方が自分の潜降速度をつかみやすいので、潜降ロープを見ながら行いましょう。地形に沿って潜行する場合より耳抜きの頻度が増しますが、ロープが近くにあれば、耳抜きがうまくいかない場合でもすぐにロープをつかむことが出来ます。
ヘッドファースト潜降
ヘッドファースト潜降は、フィートファーストとは逆に頭側が水底を向く形で潜っていきます。水底に向かってキックをし、潜降のスピードを求めるスタイルです。フリー潜降がマイナス浮力によって自然に潜っていくのに対し、ヘッドファースト潜降は言わば積極的に海へ潜るタイプの潜降方法になります。
潜り始めが一番の難所
潜降前の前提として、BCDの空気をしっかり抜いておく必要があります。アクティブに潜っていく潜降スタイルですので、あえて吐き気味呼吸にする必要はありませんが、いつも通り焦らず落ち着いた呼吸が望ましいです。
ヘッドファースト潜降のやり方はスキンダイビングのページでも詳しく紹介してます。
ポイントは水面にうつ伏せに浮かんだら、顔を目標の着底地点に向ける事、潜る瞬間には腰を直角に曲げる事です。さらに足を真上に伸ばすと足の重みで体は水中へと沈んでいきます。手で下に向かって一かきして、あとはキックで水底へ向かいましょう。
適正ウェイトでスマートな潜降を
適正ウェイトでのヘッドファースト潜降は、プラス浮力で行うスキンダイビングよりもかなりスムーズに水中に潜ることが出来るはずで、少々不細工な形でも沈めてしまう事があります。出来ればスマートに潜れた方がかっこいいですので、形にもこだわりましょう。
よくある残念なヘッドファースト潜降は、事前にBCDの空気を抜かずに水面でバタバタしてしまうケース。もしくは、腰がしっかり曲がっていない場合も、体が水中に潜っていかずやっぱり水面でバタバタしてしまいます。当たり前ですが、キックを始めるのは足が完全に水中に入ってからの方が、水を捉えるには効果的。水面で水しぶきを上げて潜っていくのはいただけません。
ヘッドファースト潜降と耳抜き
またヘッドファースト潜降をする時の課題の一つが耳抜きです。頭を下にしてぐいぐいと潜っていくスタイルは、耳抜きが苦手なダイバーにとってはちょっと辛いかもしれません。
耳抜きが苦手な人ほどこまめに耳抜きを行った方が良いので、ヘッドファースト潜降の時には潜りながら連続で耳抜きをし続けるくらいがいいと思います。また、耳抜きをする時にだけ上体を起こすと抜けやすくなることもあります。
応用の潜降スキル
フリー潜降やヘッドファースト潜降をアレンジしたり、組み合わせた応用スキルです。
フリー潜降とヘッドファースト潜降のミックス
スキンダイビングの場合は別として、ヘッドファーストで潜る時に毎回水面でうつ伏せになるところから始める必要はありません。
アレンジパターンで潜降する人も多く、初めはフリー潜降で少しずつ体が沈むにつれて、ヘッドファーストに切り替えていくというスタイルなんかもおすすめです。
私がドリフトダイビングのガイドをする時などは、流れが比較的緩やかな場合は初めはヘッドファーストで潜降し、ある程度潜ったら、後ろ上側のゲストをモニタリングしやすいようにフリー潜降に切り替えて潜っていきます。
エントリー後、即潜降
これも応用になりますが、エントリー後に水面に浮かばず、そのままの勢いで潜降してしまうテクニックもあります。予めBCDの空気を全て抜いておく必要があるため、エントリーに少しでも心配のある人にはおすすめ出来ないのですが、エントリーから潜降まで、陸上から水中に至る一連の流れが実にスムーズです。
これが出来るダイバーに出会うと感心させられますね。エントリー後即ヘッドファースト潜降というパターンが、最速で水底に到達できる方法で、流れがあるダイビングポイントなどでは特に有効です。