(Sponsored Links)
フィンキックが上手になれば、ダイビングの楽しみも幅が広がります。スタンダードなキックが身についたら、その海その時に応じたキックもぜひ覚えていきたいところです。
ここでは、状況によって使い分けられる応用フィンキックを解説します。
スタンダードを応用したフィンキック
ダイビングが上手い人は、履いているフィンのタイプやその場の状況に応じてフィンキックを使い分けています。
一般的に言われるスタンダードなフィンキックだけでもダイビングは楽しめるのですが、どうせならバリエーションを増やして、効率良くノンストレスに潜りたいものです。
ここではスタンダードを応用した2タイプのフィンキックをご紹介します。なお、平泳ぎ型のあおり足については別ページを設けていますので、そちらを参照してください。
強いフィンキック
瞬間的なダッシュ力重視
幅があって硬めのフィンを使う時
ここで言う「強いフィンキック」は、普通のフィンキックを単純に強くするのとは少し違います。足を振り上げてから、水平状態に振り下ろすまでを強く蹴るフィンキックを、私は「強いフィンキック」と呼んでいます。大きめのカメラを持って潜る時など、グイッとパワフルに泳ぎ出したい場合のキックです。
このキックは幅広で固めのフィンを使って、そのパワーとトルクを最大限活かすことを前提にしています。固いフィンの場合、しなりが小さいため、ダウンキックを最後まで蹴りこんでもほとんど推進力にはつながりません。そのため、この強いフィンキックでは水平位置まで力強くキックしたら、またアップキックへと移っていきます。
そしてアップキックですが、固めのフィンの場合太ももまで振り上げると、ダウンキックの出だしで抵抗が大きく、バランスを崩しやすくなるので、意識的に太ももを動かさないくらいの気持ちでいいと思います。
またダウンキックの初期段階では、徐々に力を強めていくようにします。初めから全力でキックをすると水の乱流が起きて、推進力が生まれにくくなってしまいます。
強いフィンキックに向いているフィンは?⇒ジェットフィン(SCUBAPRO)
細かいフィンキック
中・長距離のスピード重視
長く軟らかめで細身のフィンを使う時
キックの幅を狭めて、腰から足首そしてフィン先までを連続して波打たせるように動かすフィンキックを、私は「細かいフィンキック」と呼んでいます。ただ小刻みにキックすれば良いかと言うと、ちょっと違ってきてしまうのです。このキックは長距離を移動する時や、よく泳ぐタイプのドリフトダイビングでスピードを出したい場合に使えます。
魚の泳ぎ方と原理が同じなのですが、フィンを波打たせるようにして水流を生み出すのが、細かいフィンキックのポイントです。ちょうど地面に置いたロープを波打たせるイメージです。腰をロープの持ち手、足とフィンがロープの本体部分だと考えてもらえるでしょうか。左右2本のロープを交互に波打たす感じで、足全体をやわらかくして、腰を起点にフィン先までを波を伝えるように連続して動かしていきます。
このキックではフィンのしなりを最大限に活かしたいので、長く軟らかめのフィンを使います。軟らかいフィンの場合、スタンダードなキック幅だと推進力が上側に逃げてしまいますので、キックの幅をあえて狭くします。アップキックで通常の1/2くらいまで振り上げたら、ダウンキックに入って良いでしょう。キックの一連の動きの中で、足を動かすスピードはなるべく素早くした方がよりスピードに乗って泳げます。
また、フィンに横幅があると抵抗が大きくなって素早く蹴りこめないため、出来るだけ細身のフィンを使うと良いでしょう。
細かいフィンキックに向いているフィンは?⇒ワープフィン(GULL)
効率を求めるならスタンダード
ここまで二つの応用フィンキックを紹介してきました。それぞれ、状況や使用するフィンに合わせたキックなのですが、いくらシチュエーションがピッタリでも、常に同じフィンキックで泳ぐのはちょっと非効率的です。硬めのフィンを履いているからと言って、ずっと強いフィンキックで良いというわけではないんですね。
車のギアチェンジのような要領で、パワーが要る泳ぎ出しの時には「強いフィンキック」でスタートし、スピードが上がってきたら更にスピード重視の「細かいフィンキック」に切り替えるというのが定番です。強いキックはストロークが大きいため、水の抵抗を受けやすく、ある程度まで速くなったらそれ以上のスピードは望めません。一方で、細かいキックにはパワーがないため、泳ぎ出しには向かないのです。
もちろん、強いフィンキックと細かいフィンキック、それぞれに合ったフィンを履いている場合、どちらかに偏った泳ぎ方になってしまうのは仕方ありません。どんなフィンでもダイビングは出来ますので、パワー重視かスピード重視かでフィンを選べば良いと思います。
どっちつかずにはなりますが、ギアチェンジをサクサクして効率よく泳ぎたいのであれば、スタンダードな硬さのフィンでスタンダードなキックをするのが一番でしょう。なお、スタンダードなフィンとしてはスーパーミューダブルエックス(GULL)やミュー(GULL)がおすすめです。