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スクーバダイビングにどっぷり浸かると、何となく軽視するようになってしまうのが、スノーケリング(シュノーケリング)やスキンダイビング。ここだけの話、ランクはインストラクターレベルなのに素潜りを苦手としている、なんて人もいるのが残念な限りです。
スノーケリング&スキンダイビングは、お手軽に楽しみながら、スクーバダイビングの基礎スキルも鍛えることが出来るマリンレジャーです。ここでは、その意義や小技的なスキルをご紹介します。
スノーケリング&スキンダイビングの三大意義
スノーケリングやスキンダイビングは、基礎を大事にするインストラクターや昔ながらのベテランダイバーたちから愛される存在です。なぜなら、そこにはスクーバダイビングはもちろん、海自体を楽しむためのエッセンスがたくさん詰まっているから。具体的には次の三点が大きいと思います。
- ダイビングの基礎を身に付けられる
- 安全管理に欠かせない
- それ自体が楽しい
では、以下で詳しくお話ししましょう。
ダイビングの基礎を身に付けられる
スノーケリングやスキンダイビングには、スクーバダイビングで活かせる要素がぎっしり詰まっています。オープンウォーターレベルの講習でプログラムに必ず取り入れられていることからも、重要度が分かりますよね。
例えば、スノーケリングもスキンも、スクーバと比べると動きがアクティブでスピーディー。移動範囲も広くなることが多いため、効率の良いフィンキックが身についていないと、十分に楽しむことが出来ません。
もっとも水面でのフィンキックは、アップキックを抑え、水中でのダウンキックがメインになるので、スクーバのそれとはまた少し性格が変わってきます。しかし、フィンで水を捉えるという基本が理解できていなければ、スノーケルだろうがスクーバだろうが、スムーズに泳ぐことは難しいのです。
また、スキンダイビングでは水中での行動可能時間が限られるため、無駄を省いたシンプルで滑らかな動きが求められます。先述のフィンキックは言わずもがな、出来るだけ長く水中に滞在するための呼吸法や、潜降時の抵抗を最小化するための直線的な姿勢などが大事になってきます。
スキンダイビングでがむしゃらに動いていると、すぐに苦しく感じ、水面に戻りたくなってしまいます。スクーバダイビングでエア消費が早いことにお悩みの方は、効率的で省エネな動きが出来ていないことが多く、その意味でもスキンの技術はスクーバに活かすことが出来るのです。
何かにつけて、スノーケリングやスキンダイビングをハイレベルにこなす人は、スクーバの上達も早いということですね。
安全管理に欠かせない
ゲストレベルで行うことは少ないと思いますが、スノーケリング&スキンダイビングは海況チェックの常套手段です。スクーバ器材を背負うよりも、スピーディーで身軽な三点セットのみでエントリーする方が、効率良くリサーチが出来ます。
流れや透明度がどの程度なのかは、実際に海に入ってみるのが一番確実ですし、エントリー・エキジットポイントの波やうねりに関しても、陸上から見ているよりも体で感じた方が、難易度が分かりやすいでしょう。
- このコンディションで実際に潜れるのか?
- 潜れるのであれば、どういった注意事項があるのか?
といった点は、多くが事前のスノーケル・スキンによるチェックから答えを導き出せます。
また、あること自体が既に安全管理につながるのがスノーケルです。若いイントラが先輩から「お前スノーケル付けてないけど、流されたらどうすんだ?」と怒られている場面を見かけることがあります。ダイビング慣れしている人ほど、油断してしまうものなんですね。
水面移動の必要がほぼ無いボートダイビングでは、スノーケルがうっとおしく感じられるときもあるかもしれませんが、もしエア切れしたら?もし漂流したら?もしダイビング中にボートが流されたら?なんてことを皆さんは想定しているでしょうか。エアのない状況で水面を泳ぐ場合、スノーケルがあるのと無いのとでは疲労度に雲泥の差が出ます。そして、トラブルは大抵準備の無い時に限って起こるものなのです。
それ自体が楽しい
スノーケリングやスキンダイビングは、それ自体がとても楽しいマリンレジャー。しかし、スクーバダイビングに慣れきっていると、自由度に制限がある点や、スキルが難しい点(特にスキン)から、何となく敬遠してしまいがちです。「スクーバで潜れるのに何でわざわざスキン?」と感じる人もいるでしょう。
しかし、これら水面系のレジャーにはスクーバダイビングにはないメリットがいくつもあるのです。
まず、生物の警戒度が圧倒的に低いこと。スクーバでは、水中生物はダイバーとの距離が一線を越えると、逃げるように泳いで行ってしまいます。これは多くがダイバーの排気音に驚いたり、警戒しているのです。無駄な音の出ないスキンダイビングでは、魚の警戒度が違います。スキンダイビングでより自然の状態に近い魚たちの姿を見れば、きっと多くの人がやみつきになるはずです。
また、窒素とは無縁な点も魅力ですよね。ダイビングの休憩中にはもちろん、リゾート滞在の最終日に余韻を楽しみながら泳いでみたり、ということも可能です。
そして、特にスキンダイビングについてですが、スキル追及の楽しみがある点も、面白さの一つではないでしょうか。スキンダイビングはスクーバダイビングよりも、技術的な差が出やすく、正直なところ上手くなければほとんど楽しめません。それゆえに、スキルアップのしがいがありますし、上達した時の優越感は何とも言えません。
このように、それ自体に魅力があるのがスノーケリングやスキンダイビングなのです。
覚えておきたいスノーケル系の小技的スキル
ここでは、スノーケリングやスキンダイビングを楽しむための小技をご紹介します。中級者以上であれば、自然と実践している方も多いかもしれません。
なお、ジャックナイフなどの主力スキルはスキンダイビングのページを参照してください。
強めの排気
スノーケルの宿命ですが、どうしても水が筒の中に入りやすいという特徴があります。国内メーカーを中心に、企業努力で機能が進歩してはいますが、レギュレーターよりは密閉性が劣るので、完全には水の浸入を防げません。
そこでスノーケル使用時は、定期的に強めの排気を心がけると良いでしょう。呼吸を2,3回するごとに、スノーケルクリア気味に強めに息を吐き、常にスノーケル内の水を排気しておけば不快感は無くなるでしょう。もっとも、少々の水が入っているくらいでは気にならないという人には不要のテクニックです。
すする呼吸
上で挙げた強めの排気に対して、こちらは水が浸入しても一時的にやり過ごすことが出来るスキル。スノーケル内に水が入ってきたと感じたら、麺類をすする程度に細めに息を吸いましょう。内部で水がゴロゴロ転がるような感触が口に伝わってくると思いますが、この「すする呼吸」をしていれば、水を飲むことはありません。頃合を見計らってスノーケルクリアをしましょう。
このスキルは気道のコントロールと呼ばれ、レギュレーターを使うケースとして講習などで教わる場合もあると思います。
水深キープのためのフレアリング
スキンダイビングで水中に潜っていった場合、普通のウェイト設定(5mmフルスーツ+1,2kg)なら、水深7,8mくらいでも自然と体が浮いてくるはずです。もう少し水中にいたいという時は、手足を広げて(フレアリング)、水の抵抗を大きくし、浮上速度を抑えることが出来ます。
スクーバダイビングでも、浮力コントロールをミスってうっかり浮いてしまった場合や、急なアップカレントに対応する場合などに使えるスキルです。ウェイトを捨てる緊急浮力浮上の際には必須になりますね。