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ダイビング後半や深場からの浮上の時に、必要以上に浮いて行ってしまい、ガイドに救出されたという経験があるダイバーは結構いるのではないでしょうか。
中には浮いてしまった自覚が無いダイバーもいますが、これには必ず理由があり、対処法や予防法もあるのです。
考えられる原因
深場からの浮上時に浮いてしまうのは、BCDの排気のタイミングが遅れてしまっているからでしょう。
もっとも、少々排気が遅れても、浮き上がってしまう事はありません。明らかに浮いている場合は、排気がかなり遅い、もしくは排気をしていないことが原因でしょう。
また、浅場を中心に浮きやすい場合は、BCDを疑うよりも、力の入り過ぎや呼吸に原因があると思われます。ちょっとした焦りや、緊張で力んでしまい、正しい呼吸が出来ていないはずです。
ケースとしては稀ですが、ウェイトが足りないことも考えられますね。ただし、オーバーウェイトでも浮いてしまう人はいます。
その他、器材に原因を求めるなら、BCDのパワーインフレーターの給気ボタンが塩噛みを起こしていて、ボタンが押されっぱなしになっている可能性もあります。
浮いてしまう原因
- BCD排気の遅れ
- 力みによる呼吸の乱れ
- 給気ボタンの塩噛み
対処法
単純に浮いてしまったならば、まずはBCDの排気をします。
慌てていると排気の基本姿勢がおろそかになりがちですが、体を起こしインフレーターホースを上に伸ばした上で、排気ボタンを押しましょう。
正しい姿勢が取れないと、上手く排気が出来ず、どんどん浮き上がってしまいます。
より実践的なのは肩のダンプバルブを引く方法。姿勢を起こす必要がありませんし、一気に多くの空気を抜くことが出来ます。それでも、ある程度決まった姿勢はありますし、空気を抜き過ぎる場合もあるので、浮力とBCDの基本を踏まえた上で使って下さい。
次に、浅場などで水深の変化が特にない状況で浮いてしまう場合。
原因は、力んだことによる呼吸の乱れですので、まずは焦らずリラックスする事が優先です。
少々浮いてしまっても、すぐに肩の力を抜いて大きく息を吐けば、ゆっくりと沈んでいくはずです。この時、安全面で問題が無ければ、多少バランスが崩れても構いません。無理に体勢を立て直そうとすれば、結局力んで浮いてしまいます。
何度も繰り返し浮いてしまう場合には、吐き気味呼吸を実践してみましょう。呼吸する空気の量は変えずに、吸う時間を短く、吐く時間を長くする呼吸法です。吐き気味呼吸が出来れば、浅い場所で多少浮力が大きくなっても、普通に潜り続けることが出来ます。
次に、BCDの給気ボタンが塩噛みのため押しっぱなしになっている場合です。
水中ではどうにもならない事もありますので、応急的にインフレーターにつながる中圧ホースを抜いてしまいます。これを空気が通った状態で行うには、ちょっとしたコツと指のパワーが必要ですので、普段器材をばらしている時にでも練習をしてみましょう。
この場合は急浮上につながるケースもありますので、素早く中圧ホースを抜き、BCDの空気を排気する必要があります。排気量の多い肩のダンプバルブを使うといいでしょう。
なお、中圧ホースを抜いた状態では、BCDへの給気はオーラル(口を使って吹き込む)で行います。給気の度にレギュレーターを外すことになるので、これも練習をしておいた方がいいですね。
面倒でも、トラブルを想定して練習やイメージトレーニングをしておくことが、いざと言う時に助けになるのです。
浮いてしまった時の対処法
- 正しい姿勢で速やかにBCD排気。
- 肩の力を抜いて正しく呼吸。場合によっては吐き気味呼吸で。
- BCDに空気が入りっぱなしの場合は中圧ホースを抜く。
予防法
浮き過ぎを防ぐには、浮き沈みの感覚を鍛えて、自分が浮かんでいくことにいち早く気付く必要があります。
自分の体は今沈み気味なのか、浮き気味なのか、中性浮力の状態なのかを感じられるようになりましょう。
また、こまめに排気ボタンを押して、浮力をコントロールすることも重要です。
実際、排気ボタンを押して空気が抜けてから、実際に体が沈み始めるまで、若干のタイムラグがあります。そのため、ジャストのタイミングで排気をするよりも、気持ち早めに排気ボタンを押しておくのが理想的。
まあ、そこまで出来なくても、意識してこまめに排気をしていれば、浮き上がる事は防げます。
BCD以外に、正しい呼吸法を身に付けることも大切です。浅場では特に呼吸が浮き沈みの鍵を握っています。浅場で力が入ると、早く、そして吸い過ぎの呼吸になりがちで、その結果浮力が大きくなってしまうのです。
最後に、インフレーターの給気ボタンの塩噛みを防ぐのは、何と言ってもこまめな水洗いです。自分の命を預ける器材でもありますので、たまにはオーバーホールにも出してやりましょう。
浮き過ぎの予防法
- 浮き沈みの感覚を身に付ける
- こまめな排気
- 正しい呼吸法
- 器材のメンテナンス