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ボートでのファンダイビングのスタイルの一つにドリフトダイビングがあります。イソマグロやバラクーダ、ハンマーヘッドシャークをはじめとするサメの仲間など、大物を狙うことの出来るダイビングとして、ベテランダイバーを中心に人気があります。
日本国内でドリフトダイビングに力を入れて実施しているダイビングエリア、ショップはそれほど多くありません。この大物狙いのダイビングを積極的に行っているエリアとしては、与那国島、西表島、小笠原諸島、伊豆の神子元島などが有名ですね。
ドリフトダイビングと言うと、一般ダイバー(特に初心者)の間では何となく難しそうなイメージが先行しているような気もします。確かに、誰でも気軽にという雰囲気のジャンルではありませんが、スキルと手順がしっかり身に付いていれば経験本数50本くらいのダイバーでも充分楽しめますし、何よりもドリフトならではの興奮と感動は一度味わうとクセになるものです。
ドリフトダイビングとは
ドリフトダイビングをおおまかに説明すると次のような流れになります。
ドリフトダイビングの流れ
- ボートをアンカリングしない状態(ボートをロープで海底に固定しない状態です)でダイバーがエントリー
- ダイビングポイント上を潮流に乗って流されながら探索
- 予め決めてあるおおよその場所で浮上
- 海上で待機していたボートがダイバーをピックアップ
冒頭でも挙げたように、国内では沖縄や伊豆、小笠原などの離島で盛んなドリフトダイビングですが、その頻度はダイビングエリアやショップによって様々で、アンカリングのポイントとバランスよく併用する場合もありますし、与那国島などのようにオールドリフトダイビングという地域もあります。
なお、ドリフトダイビングを行う時の潮の流れの速さですが、流れをほとんど感じない緩やかな潮から、吐いた泡が横に流れていく程の速い潮まで様々です。
水面の波・うねりの状況や、今後の天候の変化予測、ゲストの経験・技量など、多くの条件から判断して安全を確保できる範囲で潜っていきます。
ドリフトダイビングの良さ
ドリフトダイビングの魅力の一つに挙げられるのが、その爽快感です。潮の流れに乗って颯爽と移動し、大きな魚や魚群との遭遇、刻々と移り変わっていく水中景観を楽しむ気持ち良さは、通常のダイビングスタイルにはなかなか無いものです。
また、大物との遭遇率の高さもドリフトダイビングの強み。大物はドリフトダイビングが行われるような潮の流れのある場所を好みます。西表島や小笠原のイソマグロ、与那国のハンマーヘッドシャークなど、大物をドリフトで狙うスタイルがダイバーの間でもよく知られていますね。
また間接的に大物遭遇率をアップさせているのが、ドリフトダイビングで泳げる範囲の広さ。ドリフトの場合はダイバー側が船に戻る必要が無いため、通常のダイビングよりも広範囲のエリアを泳ぐことが可能になり、大物ポイントでは遭遇のチャンスが高まるのです。
時間帯によって潮流の向きや強さが一定でない事や、地形の絡みもあって、一概には言えないのですが、基本的に上流側から下流側へと移動していくので、泳ぐのが大変というケースは多くありません。ただし、流されるのが基本と言っても、流れが速い時に関しては、ポジション修正やちょっとした移動で横にスライドするだけでも、流れに向かっているような感覚を受けます。
ドリフトダイビングの良さ
- 流れる爽快感
- 大物遭遇率の高さ(大物の好む場所を広範囲で狙える)
ドリフトダイビングの注意事項
独特の魅力があるドリフトダイビングですが、通常のダイビングとは異なるスタイルになるので、やはり特有の注意事項もあります。大きなところでは次の二点。
ドリフトダイビングの注意事項
- 潜降ロープが無いこと
- 流れがある状況でのダイビングになること
潜降ロープが無いこと
ドリフトダイビングの一番の特徴でもありますが、ダイバーの水中移動とともにボートも海上を移動するため、エントリーの瞬間はプロペラこそ動きませんが、基本的にはエンジンも止まっておらず潜降ロープは降ろされません。エントリーしたらすぐに、頭を下にしたヘッドファースト潜降(流れの速さによってはフリー潜降も可)で潜っていかなければいけません。流れがある中での潜降のため、時間が掛かるほど、着底地点がチームのメンバー間でバラバラになってしまいます。つまり、スムーズな潜降手順が身に付いている事や耳抜きが問題なく行えることが大切になってくるということです。
また、ダイビング終盤は流されながら浮上をして、水面に出たところをボートがピックアップするので、潜降時と同様にロープは使えません。ゆっくりとした浮上と中層での安全停止のためには中性浮力が必須スキルになるということですね。
流れがある状況でのダイビングになること
ドリフトダイビングでは基本的に流れの上手から下手へと流されていくのですが、最初から最後までずっと流されっぱなしと言うわけではありませんし、ほとんど毎回少しずつ違ったコース取りをしています。
ガイドは潜るポイントや流れの速さに応じてコースプランを練りますが、その中で、時間をかけて大物が現れるのを待つべきところ、流れに素直に流されるところ、流れを横切ったり若干逆らうことで大物遭遇のチャンスを広げられるところ、といったようにコースを細かく区切っています。また実際に潜っている中で、魚の雰囲気や潮の向きを感じて、その都度作戦を変更することも多いです。
普段のダイビングでも、流れは安全管理やコース取りを考える時の大切なファクターですが、ドリフトダイビングでは最重要ポイントになります。普段よりもエアー消費が多めになる点や、ガイドから離れすぎないようなポジション取りをすることを気をつけましょう。
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