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ナイトダイビングには多くのファンがおり、ダイバーになったら一度は経験してみたいジャンルのダイビングです。ダイビングを始める前までなら、夜の海なんて怖いと思っていた人も多いはずですが、そこにはどんな魅力があるのでしょうか?
ナイトダイビングに必須の器材である水中ライトの使い方と使用上の注意点を合わせて解説します。
合わせてナイトダイビング実践編-準備と手順-もご覧ください。
ナイトダイビングの魅力
ナイトダイビングの魅力には次のようなものがあります。
- 夜の海の雰囲気
- 夜の海ならではの生物
- イベントとしての特別感
夜の海の独特の雰囲気
ナイトダイビングの雰囲気は昼間とは全く別のものです。ちょっと大げさに言えば、ダイビングに似た別のレジャーを楽しんでいる感じさえします。
よく知るダイビングポイントでも、視界が限られることで景色が全然違って見え、普段元気に泳いでいる魚たちも見当たらず、どこか静けさを感じさせる気配。潜り慣れているはずのポイントが、きっと別のポイントに感じられると思います。
また、新月の夜には海中で夜光虫が光るのが美しく見え、満月の夜には水中が薄明るくなり幻想的な雰囲気が漂います。こうした独特の雰囲気がナイトダイビングの魅力を作り出します。
ナイトダイビングで観察できる生物
ナイトダイビングの魅力の一つは生物です。昼間には見ることの無かった生物に出会うことが出来、よく見慣れた生物も昼間とは違う姿や動きをしていることに気付くと思います。
例えば、エビやカニ、ヤドカリなどの生物は魚のように水中を素早く上手に泳ぐことが出来ないため、視界が限られて敵に見つかりにくい夜の海を活動の場にしています。そして、昼間に動き回っていた魚たちは岩場の陰でじっと眠る姿を見ることが出来ます。面白いのがブダイの仲間で、頭部の器官から膜を出して、それにくるまって眠ります。膜によって自分の匂いを消して夜行性の肉食魚から身を守っていると言われています。また、サンゴも夜に活発になる生物です。ナイトダイビングではポリプを伸ばしてプランクトンを捕食しているところが見られ、時期によっては感動的な産卵シーンに遭遇出来ます。
イベントとしての盛り上がり
また、ナイトダイビングは一つのイベントとしても盛り上がりを見せます。ダイビングショップで親しくしているゲストグループで潜りに行くパターンが多いように感じますね。普段とは違うことをする特別感で、一層ダイビングが楽しく思えるでしょう。
水中ライトの使い方
ナイトダイビングに必須の器材が水中ライトです。これが無ければナイトダイビングになりません。トラブルに備えて必ず予備のライトも携帯し、電池は積極的に新しいものに入れ替えておきましょう。そしてタンクのバルブ部分などに、自分の位置を知らせるマーカーとしてケミカルライトを付けます。
参考ページ:ダイビング器材の特徴と選び方-水中ライト・ナイフ-
ナイトダイビングでの水中ライトの用途としては以下のようなものがあります。
ナイトダイビングでの水中ライトの用途
- 視野の確保
- 生物の観察
- コミュニケーションの道具
- ゲージ類の確認
ライトはコミュニケーションの道具
水中ライトは夜の海の景色や生物を見るだけでなく、ダイバー間のコミュニケーションを助ける役割もあります。ナイトダイビングではハンドシグナルを確認しにくいため、ライトを上手く使うことが重要です。
自分の胸元を照らしてその明かりの中でサインを作るのがシンプルで分かりやすい方法です。またライト自体を動かしてサインを送ることも出来ます。ライトで大きめの円を描くと「OK」のサイン、横に振れば「注意」や「緊急事態」といったサインになります。
バディやガイドの注意を引きたい場合は、近くにいるなら相手の肩をたたいたりすればいいですが、少し離れている場合は相手のライトの光に自分の光を重ねて合図をします。ナイトダイビングでは、ダイバーの視線の先はほとんどライトで照らされている部分ですので、そこに自分のライトを向ければ相手は大概気が付きます。そして注目して欲しい生物がいた場合には、そこにライトの光を当てて小刻みに振ります。
水中ライトを使ったコミュニケーション方法は、ローカルルールも多く、上で紹介したものは私自身のやり方も多く入っています。実際のナイトダイビングでは、必ず事前にコミュニケーション方法の確認をしてから潜るようにしましょう。
ゲージの見方
残圧計をはじめゲージ類は盤面が蓄光表示になっているので、ライトの光を少し当て続ければ暗闇でも簡単に目盛が読めます。ガイドやバディに残圧を申告する時には、ライトを胸元に当てて明かりの中で指で示す事もありますが、片手でライトを持っていると6~9が表せないので、一番いいのは近くに行ってゲージの盤面を見せることですね。ナイトダイビングでは、近づくのが面倒になるほどガイドやバディと離れてはいけません。
水中ライトの使用上の注意点
水中ライトの使用上の注意点は以下のようなものがあります。ナイトダイビング特有の注意点もありますので、夜の海に潜るためにはしっかり覚えて欲しいところです。
水中ライトの使用上の注意
- 片手がふさがる状態に慣れる
- ライトを顔に向けない
- 水面で平行の方向を照らさない
- 陸上を照らさない
- 故障した際の対応を知っておく
片手が常にふさがる
ライトを常に持っているナイトダイビングでは、いつも片手にしか自由はありません。夜の海でスマートに動くためには、片手がふさがっている状態でのダイビングにある程度慣れている必要があります。
そもそも、水中でのバランスや中性浮力に問題が無ければ、手を使う場面はそんなに多くありません。念のため手首にストラップを通しておけば、どうしても両手を使いたい場合にライトを離せます。
なおライトを持つ手は、BCDのインフレーター操作をしない右手です。
ライトを顔に向けない
陸上でもそうですが、ライトの明かりを顔に当てられると眩しくて目が開けられません。これは相手をビックリさせて、思わぬトラブルを生むこともあります。相手の表情を見たい時も、腰や足元を照らすくらいで充分な場合が多いです。
何か伝えたいときに反射的に相手の顔を照らしてしまいがちですが、ライトを使ったコミュニケーションの方法を全員で共有して、このようなことが無いようにしたいですね。
水面で平行の方向を照らさない
有名な話ではありますが、水面を泳ぐダツの仲間は光に突進する習性があります。ダツの口は鋭くとがっているため、勢いよく突っ込まれると大変危険です。
このため、水面移動中などに平行方向をライトで照らしてはいけません。
陸上を照らさない
これは水中での注意点ではありませんが、ビーチでのナイトダイビングのエントリー・エキジットの際、車道を何気なくライトで照らすと、走行中の車のドライバーの顔に光が当たってしまうケースもあり危険です。
陸上では何かと油断をしがちですが、ライトは足元を照らすように気を付けましょう。
ライトが故障したら
ナイトダイビングはライト無しでは続けられません。ライトが故障した場合は予備のライトを使います。さらに予備のライトまで故障してしまったら、バディやガイドに予備のライトを借りましょう。
最悪のケースとして、ライトが全て故障してしまったら浮上するしかありません。水面に浮上したとしても、ビーチやボートまで距離が長い場合は、ライト無しという状況での水面移動がなかなかのストレスになります。
このような状況に陥らないために、誰かが予備のライトを使うような事態になった段階で、ダイビングを切り上げる事を意識しましょう。急いで戻ることまではしなくてもいいですが、進行方向はエキジット地点へ向ける必要があります。